ベルリンのアーティスト 竹村京さんの個展のご案内

ドイツベルリン在住で、知人のインスタレーションアーティスト 竹村京さんが、今週21日(土)より、東京で個展をされますので、ご案内させてください!(もちろん私も伺います〜)
下記サイトより
ちなみに京さん、拡張するファッション著者の林央子さんと一緒に1月29日にトークショーもされるようです、またご報告致しますね!
http://ignitiongallery.blogspot.com/2012/01/vol4.html

竹村京 Kei Takemura
「見知らぬあなたへ」 “dearest unknown You”

会期:2012 年1 月21 日(土)-2 月10 日(金)

会場:タカ・イシイギャラリー(東京・清澄)

オープニング・レセプション:2012 年1 月21 日(土)、18:00-20:00

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竹村京
「prosaic verse」(detail)、2011 年

タカ・イシイギャラリー(東京・清澄)は、1 月21 日(土)から2 月10 日(金)まで、竹村京 新作展「見知らぬあなたへ」を開催致します。ベルリンを拠点に活動する竹村京の3 度目の個展となる本展では、新作のドローイング、椅子やテーブル、クローゼットによって構成された家具のインスタレーション「prosaic verse」を発表いたします。また、刺繍と写真を重ねた大きな平面作品「Blocks in my Head and Berlin」、竹村の父方の祖母の家と実家の間に立つ木についての刺繍作品「between tree, ghost has come」を展示いたします。その他、平面作品を合わせたインスタレーション「in such a small world」や、最新の立体作品の修復シリーズを発表いたします。



子供を産んだ時のことです。飽きる程の痛みを経てから、突然、だまされた!と思ったのです。産む行為は一番生に近い行為だと思って張り切っておりましたが、自分が一番死に近い場所に立たされているとそのとき知ったのです。

あの地震の日。夫の仕事で一緒に東京の実家に帰って来て二日目のお昼過ぎでした。あんまり激しく家が揺れたので息子を抱きかかえて外に出ました。家の前の木は驚く程揺れていました。その前で病院からたまたま帰って来た父がてすりにつかまってようやく立っていました。元は祖母の家だったところの駐車場に車を停めた人が避難のためか立っていて、こちらに困惑の笑顔を向けました。私は以前机の下に隠れたのとどちらが強かったか考えていましたが父は人生でこんなに強い揺れは初めてだとのことでした。

毎日ものすごい破壊の映像がテレビを流れました。ベルリンに帰ってから沢山の被害の写真を見ました。ドイツの新聞や雑誌には亡くなった人の体の写真が壊れた街を背景に載っていました。写真には撮られた人の魂が何かしらこもっているとなんとなく信じている私には知らない人の体をそういう形で見ることは信じられないことでした。

それまでは知っている人々の人生に興味がありましたが、あの瞬間を通ってから知らない人々の人生に興味がつながりました。ベルリンで近くの市場に行って、知らない人々が撮られた写真を集めました。知らない人たちが写真に撮った風景は1920年代から80年代までさまざまでしたが、なぜか私の知っている風景と重なりました。

竹村京



市場で見つけた何百枚もの写真から、竹村自身が一種の既視感を感じたシーンを切り出して集めたドローイングの散文詩「prosaic verse」。この作品は竹村の祖母が幼少期を過ごした戦前の1920 年代から始まり、自身が幼少期を過ごした1980 年代の写真を元としています。同年代に作られたそれぞれの写真は被写体となっているものや人物が存在した「場」として相応しいと作家が感じた写真立てに収められています。また、同様に相応しいと思われた既視感のある机、椅子、本棚がその写真立てが存在する空間として選ばれています。「見知らぬ彼らの人生を写し取るプロセスにおいて、彼らの家においてあるものがさも自分の人生の中に存在したかのような感覚を自分に起こさせたのかもしれない」と竹村は言います。

「Blocks in my head and Berlin」と題された刺繍と写真を重ねた大きな平面作品は、壊された竹村の父方の祖母の家の跡地に建てられたコンクリートのブロックを思い出し、縫い起した壁のポートレートです。感覚的にブロックの組み合わせを配置することによって完成した「壁」は、作家が日々垣間見るベルリンのブロック塀と相似しています。作家の記憶は、それひとつで成立しているものではなく、紡がれた糸を辿る他者の記憶と交差し、しだいにその境界を越えて、見知らぬ人々をも巻き込みうる普遍的な記憶を呼び起こすことを試みています。

刺繍作品の「between tree, ghost has come」は「親愛なるあなたのために」展(2004 年、タカ・イシイギャラリー、東京・清澄)にて発表した作品「To remember the grandmother room」と対しています。2004 年の作品で竹村が扱ったのは母方の祖母の家でしたが、今回の作品は父方の祖母の家と実家の間に立つ木
を主題としており、重なり合うイメージと刺繍を通して竹村は観賞者の中に別の場所に存在した空間、そこに漂う記憶を呼び起こします。

本展の出展作品の多くは写真や描かれたドローイングの上に刺繍を施した布を重ねています。刺繍をするという行為は、竹村にとって「仮に」という状態を作りだすことを意図しており、既に存在しないものや記憶のかけらをより具体的な存在へと昇華させます。また、共に生きる人々の時間や風景の中から自分の記憶と重なるシーンを取り上げ、そこへ彼女自身の歴史を作品の対象に重ね完成されます。オーガンジーの布を通して光が落ち、刺繍の影と写真や描かれたドローイングの線が重なりあうとき、光と未完成の線の関係性を通して、場の記憶が強く呼び起こされます。それは作家の本人の記憶であると同時に、幾万人もの「見知らぬあなた」の回想や体験を描き出しています。
竹村京の最新作を是非この機会にご高覧ください。



【 竹村京 略歴 】
1975 年、東京生まれ、ベルリン在住。2002 年東京藝術大学院美術研究科絵画専攻油画専攻卒業。同年ベルリンに渡り、ベルリン芸術大学で学ぶ。2004-2007 年文化庁芸術家在外研究員。主な個展として、「親愛なるあなたのために」(2004 年、タカ・イシイギャラリー、東京・清澄)、「Kei Takemura」(2004 年、ギャラリー・アレクサンドラ・サヘブ、ベルリン)、「はなれても」(2007年、タカ・イシイギャラリー、東京・清澄)、「A part Apart」(2008 年、トーキョーワンダーサイト、東京))、「Dresden Dream with Y.A」(2009 年、ギャラリー・アレクサンドラ・サヘブ、ベルリン)などが挙げられる。2005 年、作品集『Takemura Kei in Berlin 2000-2005』を出版。
2006 年「第15 回シドニー・ビエンナーレ」に参加するなど、国際的に高い評価を獲得しながら活動の場を広げている。

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